さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



あついよ……。

男装を隠すために、身体のラインを拾いにくい硬い生地のTシャツを着てきたのが、ここにきて完全に裏目に出ていた。

風通しが悪いので、熱が内側に籠るのだ。


スタジオ後方でぼうっとしながら、他のメンバーは大丈夫なのかな、と見渡してみれば。

Tシャツの袖を肩まで捲ってほとんどノースリーブみたいにしている人や、首元を引っ張って風を入れたりする人が多かった。

Tシャツの裾を引っ張って首元の汗を拭っている人もいて、その拍子に、引き締まった腹筋なんかがチラリと鏡に映り込む。


極限状態の私はそんな姿を前にしても、いいなぁ……という感想しか抱けなかった。

私もあんなふうに無造作に風を逃がしたい。無理だけど。


にしても、こうやって見ると分かるけど、みんな思っていたよりずっと男の人の身体をしている。

腕の太さも、血管の浮き上がり方も、肩の厚みも、私のそれとは全部違くて。

スタジオ後方にポツンと座り込んでいる自分だけがあまりにもちんちくりんなので、場違い感がすごかった。


……こんなんじゃ、露出が無くても男装バレは時間の問題のような。

と、そんな不穏な予感を振り切るように、私は小さくため息を吐く。


そんなことを考えても仕方がない。今集中すべき課題は、残り二十分でどうやって振りを入れるかだ。

誰かに分からないところを聞きたいけれど……

今、みんなはそれぞれのブラッシュアップに力を入れていて、質問できる雰囲気じゃなさそう。


……当然だ、彼らにとっても一時間という時間制限はキツキツ。

他のメンバーの世話を焼く余裕なんてないだろう。

あーあ、詰みだな、これ……。


膝を抱え、半ば諦めかけていた──

そのときだった。