さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



少し引っかかったけれど、次に瞬きをした時にはもう、Mr.Dは何事も無かったような顔に戻っていて。

腕を組んだまま、篤彦の全身を値踏みするように眺めていた。


……

……気のせい、か。


「Your name(名前)」

「Atsuhiko Shiki(椎木篤彦です)」

「Atsuhiko. Better than Sho, huh? Didn’t see that coming. I’ll be watching you.(篤彦。翔より上とは驚いたな。見てるぞ)」


相変わらず圧のあるMr.Dの視線。けれど篤彦はそれに対して物怖じする様子もなく、むしろニコッと百点満点の爽やかスマイルを浮かべた。


「Yes,sir. I’ll do my best to meet your expectations(はい、ご期待に添えるように頑張ります!)」


……うわぁ。

先ほどまで鍵を持ち逃げしていたクソガキとは思えない、完璧すぎる好青年ヅラ。

その呆れるほどの猫被りように、私は内心思いっきり顔をしかめた。


やがてMr.Dは、篤彦との会話に気が済んだのか、くるりと踵を返すと。

そのまま再び鏡の前まで戻ってきて、私たちに向き直った。


「Good. Now let’s get to work.(良し。早速始めていこうか)」


彼の言葉に、スタジオ内にピリリと緊張感が走る。

私も息を詰めた。


無茶振り鬼畜レッスンで悪名高いMr.Dだが、今回は一体どんなレッスン内容を持ってきたのか。

LUCAのようなサバイバル方式?それとももっと新しい何か……?


身構える私たちに、Mr.Dは続ける。