さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「I hope one of you becomes as great a dancer as she was.(お前らの中から、彼女のように素晴らしいダンサーが出ることを願っているぞ)」


言いながら、突然立ち上がるMr.D。

そして偉そうに腕を組みながら、私たちを値踏みするように見て回り始めた。


な、なんだ……?


急にこちらに近づいて来られ、その圧迫感に、自然と背筋が伸びる。

けれど、彼は私のことを少し見た後、すぐにふいと視線を逸らし。


そのまま私と栄輔の合間を縫うように抜けていって──

私の斜め後ろの人物の前で立ち止まった。


「Sho」


名前を呼ばれた翔が、顔を上げる。


「You’re the dance leader here as well?(お前はここでもダンスリーダーか?)」


低い問い。

翔は『ここでも』という言葉に一瞬眉を上げたが、すぐに無表情に戻った。


「No.(いいえ)」


簡潔に答えて、そのまま横にいる椎木篤彦にスッと視線を流す。


「He is.(彼です)」


その言葉に、Mr.Dも、ふっと篤彦へ視線を向けた──

の、だけど。


その姿を見とめた、ほんの一瞬。

気のせいかと思うくらい僅かに、Mr.Dの瞳孔が揺らいだような気がした。


違和感を覚え、私は思わず小さく首を傾げる。


……なんだ、今の?

知り合い?