さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「え?!俺もいいんすか?」

「いいよ。そもそも俺一人じゃ使いきれないだろうし」

「やっばデカすぎ!今度何か奢りますね」

「いや俺が奢るわ。陽斗のカードで」

「天才」


さらりと報復計画を企てる雪斗、笑顔で親指を立てる栄輔。

その息の合いように、やはり共通の敵は結束を強めるんだな、なんてしみじみ実感する。


けれどまあ、私にとってはありがたい絡みだ。

栄輔は優しいし、雪斗は有能。

二人とも、私を煽ったり脅したり蹴飛ばそうとしてきたりしない。


なんて素晴らしい安全地帯。ずっとこのまま穏やかな時間が続けばいいのに──

と、そんなふうに願ったのも束の間。


ツカ、ツカ、ツカ、ツカ。


外から、威勢のいい足音が近づいてきたかと思うと──

バンッ!!!!


大きな音を立てて、スタジオの扉が開いた。

全員の視線が、一斉に集中する。


その先に立っていたのは──

私たちを地球の裏側まで呼び寄せた張本人。


Mr.Dだった。


黒いTシャツの下で盛り上がった肩に、黒い肌。

ドレッドヘアは後ろで束ねられており、耳元の金色のピアスがキラリと光っている。


気圧されたような沈黙が張り詰める中、彼は真顔でスタジオ内の様子を見渡し──

ニカッ、と白い歯を見せて笑った。