「……冷えピタ使う?」
「いいの?!」
思わず食い気味に、死んでいた目を輝かせる。
雪斗はこくりと頷くと、脇に置いていた大きな黒いナップサックを引き寄せた。
「これ、まず冷えピタ。あと冷却効果のあるボディシートも良かったら。あ、こっちはハッカ油の極寒スプレーで……これが濡らすと冷えるタオル。熱中症対策の塩分タブレットもあるよ」
出てくる出てくる。床の上に、みるみるうちに並べられていく冷却グッズたち。
背後で「ドラえもん?」と栄輔がツッコむのが聞こえた。
そんな中、私は一人顎に手を当てて深く黙り込む。
……いや、なんだこの人。
有能すぎる。普通に結婚したいレベルだ。
彼がしっかりしているのは元から知っていたけれど、まさかここまでとは。
「冷えピタは額だけじゃなくて首の後ろにも貼ったほうがいい。予備のクールリングあったら良かったんだけど」
「いや充分です。ありがとう。ほんっっっとうにありがとう」
私はぺこぺこと何度も頭を下げながら、ありがたく冷えピタを受け取った。
と、そんな光景を前に、栄輔も私と同じようにソワッと落ち着かない様子。
それを察したのか、雪斗は無言で栄輔にも冷えピタを手渡した。
