さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「珍しいね二人が話してるの。あんまり関わったことないイメージだったのに」


私の言葉に、栄輔は「あぁ」と頷くと、軽く肩をすくめる。


「俺ら仲良くなったんすよ。被害者の会で」

「被害者?」

「兎内陽斗被害者の会」

「あぁ……」


雪斗の補足に、なんとなく察する。

そういえば、日本では雪斗が、リオでは栄輔が陽斗のルームメイトだもんね。


けど、栄輔、被害食らうの早すぎない……?

まだ一夜しか越してないよね?


「何かあったの?」


聞いてみると、栄輔は腕を組んだまま遠い目で話し出した。


「部屋に虫が出たんすよ」

「虫」

「で、あの人が『ギャー!!僕ガチで無理ッ!!殺せ今すぐッ!!』って言うから、その辺にあったティッシュで潰したんすよ」

「うん」

「したら、それティッシュじゃなくて、陽斗くんの顔拭きペーパータオル?だったらしくて」


言いながら栄輔は、スマホを操作し、私に画面を見せてきた。

映っているのは、PayPayの送金履歴。栄輔は、陽斗に3000円送金させられていた。


「弁償代」

「えぇ……」


そんなことある????

むしろ虫潰してくれたんだから陽斗は感謝するべきでしょ……。


相変わらずの傍若無人さに呆れる私。

その横で、雪斗もため息を吐いてこめかみを押さえていた。