さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



翌日。

今日からダンス合宿が始まるということで、私は朝早起きして指定されたスタジオに向かった。


ちなみに、スタジオは寮と一体になっているわけではなく、寮から歩いて三分ほどの場所にあった。

近いといえば近い。けれど、ブラジルの朝の空気は既にじっとりとぬるくて、たった三分の移動でもじわじわと体力を削ってくる。


先が思いやられるな……。


と、朝っぱらから鬱々とした気分で目的地に到着。

すると、そこには既に先客が二名いるようだった。

近づいてみるとその正体は、冨上栄輔、そして兎内雪斗で。

二人ともスタジオに入れないのか、入り口の前の壁に身体をもたせかけ、何やら世間話でもしているような様子。

珍しい組み合わせだな……なんて思いつつ、私は二人に声をかけた。


「おはよう。まだ鍵開いてないの?」


私の言葉に、ぱっと顔を輝かせて振り向いたのは栄輔だ。


「千歳くんおはようございます!まだ開いてないっす」

「ずっと外ってまあまあしんどいから早く入れてほしいんだけど……」


ピンピンしている栄輔とは対照的に、ぐったりした声音でそうこぼす雪斗。

二人のテンションの差にちょっと笑いつつ、私も入り口付近の壁に背を預けた。