さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



パチ屋の喧騒を背に、静琉はしばらく黙っていたが。

やがて、観念したように面倒くさそうなため息をこぼした。


『ったく、心配性だなお姫様は。分かったよ』


……いや、なんで私がワガママ言ってるみたいになってるの。当然の主張でしょうが。

苛立つ私に、静琉はいつも通り気怠い声音で続けた。


『じゃ、篤彦に直接連絡して、千歳にひどいことするなよーって言っとくから』

「……本当ですか?」


不遜な態度が気に食わないとはいえ、実際にそうして行動を起こしてくれるのは助かる。

篤彦も、静琉に釘を刺されれば流石に大っぴらに動けはしないだろうから。


私の声に少し期待感が滲んだのを察したのか、電話越しの静琉が咳払いをして、その声音を硬くした。


『ただし、ギブアンドテイクだ』


……あれ、一気にビジネスモード?

少し背筋を伸ばし、私は息を詰めた。


もしかして、また何か無茶なミッションでも要求されるのだろうか。

ブラジル政府にコネを作れとかは無理だよ、ポルトガル語使えないし……。