さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



コール音が続く。

一回、二回、三回、四……


『えっ、何?』


やっと出た。


「静琉さん、ルームメイトが椎木篤彦になったんですけど」

『あ?何?聞こえない。今忙しいんだよ』


──ジャラジャラジャラ!!キュインキュイン!!ユニコォォォーーン!!!!!ピロリロリロリ

有り得ない。この男こんなときにパチンコを打ってやがる。


「リオでのルームメイト!!椎木篤彦になったんですけどっ!!」

『おめでとう』

「ほんっっとに無理、絶対にヤバいです、あの人こっちの秘密を世間にバラす気満々ですよ?!お願いだから今からでも一人部屋にしてください!」


畳み掛けるように怒鳴ると、電話口の向こうでまたジャラジャラと玉の流れる音が鳴った。

次いで、気の抜けた返事。


『……まあ、別に良いだろ。バレたらバレたでそのとき考えれば』

「ふざけんな」


素で敬語が抜ける。


「私のことがバレたら、クビが飛ぶのは静琉さんの方ですからね。今勝ったその小銭も、違約金と損害賠償でパーになっちゃいますよ!」

『……』


金の話をしたら黙った。

その後、席を外したのか、周囲の騒音が気持ち弱まり始める。それでもまだうるさいけど。