きっとこれはスタッフさんの備品入れか何かだ。マイクの電池とかテープとかそういう細々したものを入れるために、いつもの箱を再利用してるだけ。
そうして必死に現実逃避しようとする私だったけれど、そんな抵抗を嘲笑うように。
「では、皆さん集合」
朱那さんがスタッフさんからその箱を受け取り、ローテーブルの中心にドンと置いた。
…………
やっぱり、本日の撮影の主役はこの箱みたい。
促されるまま、ローテーブルを囲んで、ソファに腰掛けるファイナリストたち。
私も渋々端っこに腰を沈めた。
「はいじゃあね、改めまして、長時間の移動お疲れ様でした〜。目的地のマドゥレイラに到着ということで、今日からしばらく皆さんにはこの寮で生活してもらいます」
逃げ出したくてたまらない私をよそに、ローテーブルのそばに一人立って、手際よく進行していく朱那さん。
「そして見ての通り、こちらの寮はエマの施設ほど大きくありません。さらには私やスタッフ陣もここに滞在することになります。よって」
……そこで、朱那さんは一拍置いて。
ニコッ、と笑顔で私たちを見渡した。
「皆さんに割り当てられた部屋数は、四つのみです。ゴメンね!」
──ウッソでしょ。
全身から、さぁっと血の気が引く思いだった。
じゃあ、二人一部屋ってこと……?
さっき部屋は充分有りそうだと思ったのが完全なるフラグになってしまった。
