「千歳くん、来て来て!多分こっち部屋」
翔と一緒に周囲を探索していた栄輔が、私のことを手招きしてくる。
促されるまま左のドアから覗き込んでみると、長い廊下が伸びており、その左側にずらりとドアが並んでいた。
……お、意外とある。
これだけあれば、部屋は一人一部屋割り当てられそうだ。
なんとか一命を取り留めた……。
そう胸を撫で下ろして、再びコモンルーム内部に視線を戻す。
と、そのとき。
撮影準備をしているスタッフさんの胸に、何やら見慣れた箱が抱えられているのが見えた。
……ん?
…………
一瞬見なかったことにしようとして視線を逸らすけど、結局無視しきれずに戻す。
……なんというか。
すごく、見慣れたデザインの箱を持ってますね。
黒くて四角くて、上に手を突っ込めるくらいの穴が開いている。
もしかしなくても、これって、いつもの……
「……いやいや」
嫌な予感に、思わず独り言がこぼれる。
まさか、まさかね。
まだレッスンすら始まっていないのに、一体何を決めるっていうんだ。
