「Where are you from? China?(どこから来たの?中国?)」
「Japan(日本です)」
「Japan! Ah, nice! Kawaii(日本!いいわね!カワイイ)」
Kawaii……さては、普通に女の子だと思われているな。
強い既視感にちょっと苦笑するけど、今回ばかりはそれでいい。
いや、むしろそう思ってもらわないと困る。
さもないと、女物の服屋に入ってキャミソールを物色する変態アジア男性になってしまうのだから。
「Date? Boyfriend? Beach?(デート?彼氏?ビーチ?)」
「え?」
「Boyfriend? Beach?(彼氏?ビーチ?)」
ポルトガル語訛りの英単語を並べながら、店の外の方を指差す店員さん。
彼氏とビーチに行くのか、って?
違います、これから地獄のダンス合宿に臨むアイドル練習生です……。
と、バカ正直に説明するのも面倒くさそうだったので、私は肩をすくめて軽く流しておく。
「Ah…yes.(まあ……はい)」
途端、店員さんの目が明らかに輝いた。
……あれ。
何か嫌な予感が。
ちょっと表情を引き攣らせる私をよそに、ルンルンと店の奥に消えていく店員さん。
そして数秒後、再び戻ってきたときには──
その手に、色とりどりのセクシー水着を抱えていた。
ちがーーう!!!!
「No, no, no(違う、違います)」
「What?(何?)」
「No beach. I need room wear(ビーチ用じゃなくて、ルームウェアがほしいんです)」
「Room wear?(ルームウェア?)」
「For sleeping(寝るための)」
「With boyfriend?(彼氏と?)」
「……」
しまった。
さっき適当に流した設定がしつこい。
