道沿いには濃い緑のヤシの葉、通り過ぎるポルトガル語の早口の会話や車のクラクション。
ホテル前の通りには、お店の鮮やかな看板が立ち並んでいる。
どうやらここは空港の近くということもあり、観光客向けに整備された、リオ有数のショッピングストリートらしい。
「朱那さんが、バスまで一時間くらいあるから、ここら辺勝手に見てきていいって。必要なものがあったら今回だけ経費で落とすからLINE寄越せ、らしい」
「ガチ?」
「それは激アツ」
スマホを確認した翔が淡々と告げると、一斉に色めき立つ男たち。
誰も日陰に黙って留まる気は無いらしく、各々「行こうぜ!」とキャリーケースを引いて目の前の店たちに突っ込んでゆく。
……ついていけない……。
この地に降り立ってまだ一日も経っていないというのに、私はもうすでに帰りたかった。
とぼとぼと歩く私を気遣ってか、栄輔が振り返って「千歳くん、一緒に行きません?」と言ってくれたけど、私は「ありがとう、でも大丈夫」とやんわり断る。
だって、せっかく楽しんでいる彼らに水を差したくないし。
それに何より、私が今行くべき店は、おそらく彼らの行きたいところとは違うだろうから。
