さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



私は肩にかけたカバンに手を入れ、中身を探す。


……あった、あった。


「遥風。見て、これ。新しい友達」


両手で掴んだそれを、遥風の前に差し出す。


「は?」


遥風が、これ以上ないほど怪訝そうに眉を寄せた。

私の手の中にいたのは──


「うさぎ?」


そう。

小さな白いうさぎのぬいぐるみだった。

いつかの学校帰りに一人で買ったのだ。


本当は、琴乃に会えたら渡そうと思ってたんだけど、結局忙しくて会える機会がなくって。

どうしようかな、って思ってたときに、私はあることを思いついた。


「ハグしたいとか思ったときに、これぎゅーしたらいいって」


そんな私の言葉に、遥風は何を言っているのか分からないといった表情で固まった。

あ、説明不足だったか、と思って慌てて付け足す。


「あの、なんか前に見たんだよね。代わりのものがあった方がいいって。お酒飲みたくなったときにガム噛むとかと同じようにさ……」


必死に説明し始める私を前に、遥風はしばらく何も言わずに固まっていたけれど──

やがて、堪えきれなくなったみたいにふはっと笑った。


「なめてんの?」


半笑いで、うさぎの耳部分をまとめて引っ掴む遥風。

あっ、有り得ない……もっと丁寧に扱いなよ、可哀想。