さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



遥風がちょっと怒ったように目を細めて、私は思わず目を逸らした。


違う。

こういうときは、『あなたが』じゃなくて、『私が』って言うべきだ。

私が、なんでそう思ってるのか。


「だから、その……私にとって、そっちの方がいいの。遥風がアイドルとして頑張れてるのが、私の幸せで」


……言ってから、はた、と気が付く。


これって、自己中?

私も、母親みたいに、遥風に理想像を押し付けてしまっているのかな。

私と同じ境遇で、私のように壊れず、夢を追い続けられた人、って。

そんなイメージから遥風が外れるのが、怖いだけなのか。


……分かんなくなってきた。自分の言ってることが、正しいのかどうか。


遥風、今、どんな顔してるんだろう。


見れない。

怖い。

嫌われるのが怖い──


と、思考がぐちゃぐちゃに絡まって、何を言えばいいのか分からなくなった、そのとき。


す、と頬に手が触れた。

ひんやりと冷たい手。それが、焼き切れそうだった私の頭を冷やしていく。


「……そんな泣きそうな顔すんな」


するり、と頬が優しく撫でられる。

思わず顔を上げると、遥風と目が合った。