「……確かに、色々言われてたけどさ。俺は別にそんなのどうでもいいから。そのことで千歳が辛くなってんなら、俺は別に降りたっていいし……千歳が一般人に戻るなら、俺も戻るよ」
そう言われた瞬間、心臓がさっきとは別の意味で跳ねた。
「……っ」
ほら。
そういうこと。
そういうことを、さらっと言う。
当然のように、自分の未来を、私の選択に委ねて。
その危うさがダメなんだよ、遥風。
思わず顔を上げた。
遥風の黒曜石のような瞳と、至近距離で視線がぶつかる。
一瞬怯みそうになりつつも、私はまだ形になりきらない思考をなんとか寄せ集め、言葉を紡いだ。
「……遥風がさ。私のせいで、自分のことを雑に扱うのが嫌」
遥風の眉根が寄った。
それでも、目を逸らさず続ける。
「どんどん優先順位が私のことばっかりになっちゃって」
自立してほしい?
いや、そんなふうに責めたいわけじゃない。
「その、私がいなくなったときに遥風が何をすればいいかわからなくなるのが一番だめだと、思ってて」
違う。
それじゃ結局遥風を非難してるみたいになる。
こんなときに限って、上手く言葉にできない自分が憎い。
演技の言葉だったらすぐに出てくるのに、本音を言おうとした瞬間、喉につっかえて、痛い。
