遥風の後について連れてこられたのは、人気のない階段裏。
遠くで、スタッフさんたちが何やら大きな声で指示を飛ばしているのが聞こえる。
搬入口からの台車の音や、トラックのバック音が聞こえてくるような、無機質な場所。
そこで、遥風はくるりと私の方に向き直った。
「……で」
ポケットに手を入れたまま、ゆるく首を傾げる。
「なんで、そんな無謀な作戦をしようと思ったんだよ」
うっ……。
オブラート皆無の彼らしい物言いに、地味にダメージを受ける。
やっぱり無謀かな……。
視線を斜め下に逸らし、「その……」と口ごもる私に、遥風は一歩近づいた。
ふわ、と鼻腔をくすぐる彼の匂い。
「なぁ、なんで。やっぱあの炎上がきっかけ?」
図星を突かれて、心臓がびくっと跳ねる。
言葉を探して、俯いた。
コンクリートの床に落ちる自分の影が、やけに小さくて情けない。
私の沈黙を肯定と受け取ったのか、遥風は「はぁ……」と深くため息を吐くと、苛立ったようにグシャリと黒髪をかき上げた。
