「プロのアーティストは、高いチケット代を払って席に座った観客を沸かせるだけでは足りません」
低く、冷たい声音。
緊張感が走ったスタジオの中心で、静琉は緩く口角を上げた。
「足を止める理由のない無関心な人間の視線を奪う力が必要です。エマの名前も、あなた方の物語も届かない異国の地で、その真価を叩き直してくること」
私はそんな彼の大仰な言葉に、思わず目を細めた。
……ああ。
なるほどね。
そうやって言えば、聞こえはいいけれど。
結局は──
南米市場を開けたら美味いから、海外広報して来いってことですよね?
早くも見え透いた静琉の計算高さに、私は溢れそうなため息を噛み殺す。
全く。
──最後の最後で、なんとも面倒くさそうな審査が始まってしまったなぁ。
