エマの大人たちは、修羅場をエンタメとして消費する悪趣味な連中ばかりだと思っていたけれど、全員がそうではなかったらしい。
心の底からの感謝を視線に込めて会釈した後、私はなんとか凍てつく修羅場を脱して、指定の席へと滑り込んだ。
例によって、現在の順位に基づいた席の配置。
京の隣に腰を下ろした遥風は、これ以上ないほどにピリついたどす黒オーラを纏っている。
彼とは撮影後に改めてちゃんと話さなくちゃな……。
そう心の中で覚悟を決めつつ、私も自分の両隣を確認してみる。
右隣は、なんと1位の天鷲翔。
……いや、分かってはいたけれど、改めて隣に座ってみると違和感と威圧感がすごい。
まさか私なんかが彼と並んで座る時が来るなんて、思ってもみなかった。
番組参加当初の私に言ってもきっと信じてもらえないだろう。
そして、反対隣は3位の栄輔。
彼の安心感で少しばかり精神的に中和されるけれど、それでも緊張は拭えない。
もうデビューを掴むために死に物狂いになる必要はないから、こんなに緊張する必要はないんだろうけど。
それでも、絶対に気を抜けない理由が私にはあるのだ。
──だって、今日ここから始まる二ヶ月間で、決まってしまう。
私が彼らにとって毒になるのか、薬になるのか。
全てを道連れに破滅するのか否かが。
だからこそ、最後まで手は抜かずに、きっちりとケジメをつけなくちゃ。
