さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「音にビビってる間に終わるから。余裕だよ」

「ピアス開けたことある人ってみんな余裕って言うよね」

「千歳も今度俺が開けてやろっか?」

「んー……痛そうだからいいや」

「だーいじょぶだって」


言いながら、遥風はナチュラルに私の耳上の髪をかき上げた。


ふ、と縮まる距離。

急な接触に、一瞬心臓が跳ね、息が詰まる。


そんな私などお構いなしに、遥風のひんやりとした指先が、私の耳たぶを優しく挟んだ。


「ほら」


低く、甘い声。

厚さを確かめるように、弄る。


「耳たぶ薄いから、多分すぐ──」


と、そのときだった。


──ガッ!!


そんな効果音が聞こえてきそうな勢いで、遥風の肩が引き戻された。


なっ、何……?!


「はい、ストップ」


そのまま、強引に私たちの間に入ってきた犯人は──

峰間京。


シャツを前開けで緩く着崩して、耳元のピアスと首元のネックレスが軽薄に光る。

色味の雰囲気がいつもと違うから、一瞬誰だか分からなかった。