と、そんな一触即発の空気の中で、椎木篤彦だけは微塵も動じていなくて。
ちら、と私の姿を一瞥し、すぐに逸らして栄輔の必死な表情を見ると、はぁ……と呆れたようにため息を吐いた。
「お前ら、こんなちんちくりんの何がええの?てかその調子じゃ次炎上すんのお前やな栄輔」
「犯罪者予備軍に言われたくないんですけど?!」
今度はこちらでバチバチと火花が散り始める。
けれどその会話の端に違和感を感じて、私はぴたりと動きを止めた。
ちょっと待って。
──『次炎上するの』って、なんだ?
「……誰か炎上しましたっけ?」
恐る恐る、聞いてみる。
思えば、学校に行っている間は色々忙しくて、SNSを確認できていなかった。
調べてみようと慌ててスマホを開くも、すぐに隣の京から制止される。
「……え?」
驚いて顔を上げると、彼はこちらを見もしないまま腕を掴んでグイとスマホを下げさせた。
「いいよ、関係ないから」
……関係ない、って。
それなら、別に隠す必要ないじゃん。
戸惑う私が視線を上げると、気まずそうに視線を逸らす栄輔と目が合う。
嫌な予感。
絶対、何かある。
そう確信したその瞬間──
篤彦が、自分のスマホを私の目の前に突きつけてきた。
「『遥千炎上』。なんで知らんの?」
苛立った篤彦の声。
途端、目の前が真っ暗になったかのような感覚に襲われた。
