さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「ったく、峰間京、お前千歳ちゃんに何をどこまでしてたの?それ次第では俺、本当に怒るけど……」


その鋭い視線を受けても、京は顔を上げることはなく。

私の肩によりかかったまま、片口角だけを上げて低く笑った。


「可愛かったな」

「表出ろよ」


ブチ切れ。

これにはさすがに栄輔も穏やかではいられないらしく、彼らしくない苛立った舌打ちが部屋に響いた。

険悪に火花を散らす彼らに挟まれ、私は音もなく霧散してしまいたい衝動に駆られる。


いつもならここで、変な冗談をやめろと峰間京に噛み付くターン。

しかし、今回ばかりは何も言い訳できない。

たとえ物理的に逃げ出せないような状況だったとはいえ、完全にラインを見誤った感がある。


本当にごめんなさい……男好きと言われても仕方ないです、一発ぶん殴ってもらっていいです……。


と、心の中で謝罪を繰り返す私の腕が、不意にぱしっと掴まれた。


栄輔だ。

彼は京から私を遠ざけるみたいに自分のそばに引き寄せると、心配そうにこちらを覗き込んでくる。


「大丈夫ですか?痛いことされてない?……って、お前ここっ、噛んだだろ!!」


首筋に視線を止めた栄輔が、顔を真っ赤にして京に怒鳴る。

京はしらこい顔で肩をすくめてみせるだけ。


……自分ではまだ確認できていないけれど、彼のことだからきっと、身体のあちこちにこれ見よがしに自分の痕を残しているに違いない。