さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「……いい匂い」


マーキング完了、とばかりに満足げな声音。


変態……。


そう心の中で毒づいても、物理的に押さえ込まれては勝てるはずもなく。


そのままくるりと視界を反転させられ──

ドサッ、と。


覆い被さられるような形になった。


「っ……」


寝起きとは思えない、完璧に整ったビジュアル。

ノーセットの前髪がさらりと揺れて、その隙間から甘ったるい色を含んだ視線が私を捉える。


逃げ場を塞ぐように、顔の横に手をついて。

指先で、私の唇をふに、と軽く押した。


「──いい?」

「良くない」


即答。こんな平日の朝っぱらから一体何をしようとしてるんだこの人は。

けれど、そう言ったところでこの人が素直に取り合ってくれるわけもなく。


「……じゃ良くなるまで付き合ってよ」

「はっ?」


その言葉を理解する前に、京の頭が私の首筋に埋まって。

直後、皮膚の薄い場所に、熱い舌先が這わされた。


「っ、……!」


びく、と身体が跳ねる。

慌てて抗議しようと口を開くも、そのタイミングでちゅう、と軽く吸われ、意味をなさない甘い声だけが溢れる。


「っ、や……、んっ、」


恥ずかしくて、慌てて指の背で口を塞ごうとする。

けれど、それよりも早く彼の手が私の両手首を捉え、頭上のシーツに縫い付けた。