さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「っ、ひ、ぁ……」


雨の中、霞につけられた跡の上から、強く吸い付かれる。

いつもなら、きちんとこちらのことを気遣いながらしてくれるはずなのに。

今の彼は、こっちの反応なんかお構いなしで、執拗に霞の痕跡を上書きしようとしてくるだけ。


「……っあ、京っ、痛いっ……」


掠れた声でようやく絞り出すと、京はようやく唇を離した。


そのまま、ゆるりと首を傾げ、私を見上げてくる。


「──俺も」


さら、と揺れる長い前髪の下、仄暗い影を孕んだその瞳。

それを前に、私はちょっと息を呑む。


また、だ。


また、ぐちゃぐちゃで──

壊れる寸前の京。


硬直する私に、彼はふ、と自嘲気味に笑いながら続けた。


「ちゃんと物分かり良い奴でいようかなって思ってたけど……やっぱ無理」


上からのしかかられ、ぎゅう、とキツく抱きしめられる。

そのまま、京は甘えるように胸元に顔を埋めてきて──



「……辛くて死にそう」



泣き出しそうな、掠れた声を落とした。