そんな、生死ギリギリの無茶苦茶逃避行を終えて。
裏口に停まっていた京の『友達』──例によって、本当に友達か?と疑いたくなるようなイカついお兄さん──の車に飛び乗り、私たちはどうにか九条家を脱出した。
けれど、窮地を脱したからといって、めでたしめでたしで終わるわけもなく。
ブリザード級に冷たい空気の車内に耐え、ようやく深夜の寮に帰り着いたのも束の間──
私はすぐさまベッドに押し倒され、新たなる窮地に陥っていた。
一日のうちに二人の男とこんな倒錯した姿勢になるなんて、一体どんな因果応報……?
泣きたくなる私に、京は何も言わないまま。
ぐい、と距離を詰め──いきなり唇を塞いできた。
「っ……!!」
突然のことに、硬直する身体。
そんな私のことなどお構いなしに、京は強引に唇を割って口内に侵入してくる。
重なり合う唇から漏れる、生々しい水音。
なんとか押しのけようと伸ばした手も、頭上でひとつにまとめられベッドに縫い付けられる。
香水の匂い。熱い体温。ふわふわした布団の感触と、それに反した硬い胸板の感触。
思考を全て塗り潰してしまうような余裕のないキスに、次第に抗う気力すら削がれて、くた、と力が抜けてゆく。
