「なぁ」
「……はい」
「俺のこと、好きに使っていいから」
「……」
「俺、お前にならずっと騙されてやるし」
「……自分だって、騙してたくせに」
「は?俺ほど誠実な男いねぇだろ」
「はぁ……?」
私が思わず顔をしかめると、背後からくすくすと楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
この人、猪突猛進バカみたいな感じ出しといて、普通に戦略的だから怖いんだよな……
正直、この怪我だってどこまでが本当なのかも分からない。
彼なら、私の気を引くためにわざと大袈裟にやられたりしてても不思議じゃないんだから。
「……な、顔見たい。こっち向いて」
不意に、声をかけられて。
そのまま、何かを言い返す間もなく、ぐいっと反転させられる身体。
さらりと揺れる前髪の下、彼の瞳と視線が交わったかと思うと──
直後、強引に唇を奪われた。
「!っ……」
驚いて必死に押しのけようとしても、逆に後頭部に手を回されさらに密着させられる。
何度も、何度も、角度を変えて。
貪るように舌を絡め合わされ、静まり返った部屋の中に、ちゅ、とキスの水音が響く。
