さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「今日さ……お前が助けに来てくれたとき、マジで天使かと思った」

「……そう、ですか」

「お前、俺相手にもあんな泣きそうな顔すんのな」

「別に、」


必死に動揺を押し隠して、なんとかツンケンした態度を取り続けるけれど。


それでも彼は萎えるどころか、楽しそうに、ふ、と小さく笑って。

そのまま、さらにハグがキツくなり、首筋に顔を埋められて深呼吸される。


「あー……やば。好き」


熱い呼吸が首筋に当たって、くすぐったい。


「体ちっちゃ。折れそう」

「折らないでください」

「うん。声もすげぇ可愛い」


本当に、誰……。

甘すぎる。怪我で弱ってるとはいえ、ここまで露骨に態度が変わることってある?

まあ、私の女の姿がよっぽど好みだったってことなんだろうけど。


衣擦れの音、お互いの呼吸音がやけに大きく聞こえて落ち着かない。


バクバクと心臓が高鳴っているのはすぐにバレて、背後から胸元に手を添えられる。

それでさらに加速する鼓動を、掌で味わうように楽しみながら、ふと口を開く霞。