「……あの、何か欲しいものとかありますか?私、聞いてきます」
霞はきっとしばらく何も食べていない。
何か口に入れたほうが良いはずだし、何より気まずい空気を払拭するためのネタが欲しかった。
けれど、そのまま背を向けて彼から離れようとしたのがいけなくて。
──グイッ!!
手首を掴まれ、引き寄せられて──
その流れのまま、何故かベッドの上に引き摺り込まれてしまった。
……は?
ふわ、と鼻腔を濃くくすぐる匂い。
背中側からぎゅう、と抱き締められ、背中には硬い胸板の感触。
はっ、話が違う……!!
慌てて身を捩って抜け出そうとしても、怪我人とは思えないほど強い腕に拘束されて身じろぎすらできない。
儚い病人みたいな顔しておいて、一体どこにこんな力が……!?
「先輩、襲わないって、」
「……襲わねぇよ」
耳元で響く、低く掠れた声。
至近距離で感じる彼の熱い吐息に、反射的にギュッと身体が強張る。
「けど、痛てぇから、俺が寝れるまで付き合って」
どういう理屈……!!
それは襲ってると同義じゃないの?
人肌恋しいなら私じゃなくて他の女の子呼んでよ、お願いだから……!!と内心絶叫するけれど。
そんな私とは対照的に、彼は今までにないくらい幸せそうに、耳元で甘く囁いてきた。
