さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「マジで女なんだ」

「知ってたくせに」

「さすがにな。何人女抱いてきたと思ってんの」


いつもの私なら、間違いなく心の中でドン引きしていたであろうセリフ。

けれど、今の私にはそう簡単に彼を軽蔑することなんてできなかった。


不特定多数の女の子との快楽に溺れるのが、彼の『痛み』を塗り潰すための唯一の処方箋だってこと。

それを、今日の傷だらけの彼を見て生々しく感じてしまったからこそ、私は何も言い返せなくなってしまう。


……気まずい。


とりあえず沈黙を潰すために、当たり障りないことから聞いてみようか。


「痛みは?」

「別に。これくらいザラにある」


さらりと流す彼に、ギュッと心臓が痛む。

それを悟られないよう、私はできるだけ冷たいトーンを保って聞いた。


「一体どういう状況だったんですか」

「まず、峰間京のせいでクソ体調悪くなって早退して」

「はぁ」

「帰り道、前追い返したトコの奴ら十人がかりで来られた」

「はっ??」


上の句の八つ当たり感に脱力したけれど、続く下の句のインパクトで素っ頓狂な声が漏れた。