……あれ?
形式的な結婚って言いましたよね?
思わず反論しようとするけれど、気づいた時には周囲をお手伝いさんに囲まれていて。
ろくに何かを言い返す間もないまま、ぐいと無理やり立ち上がらされ、脇を固められて強制連行され始める。
「はっ……あの、ちょっと……!!」
「若いお二人のこと、爺は無粋なことは申しませぬゆえ♡」
……なんとなく悟ってはいたけれど、やはりこの妙に手厚すぎる歓待は、そういうことだったのだ。
湯船に沈め、髪を梳いて、こんな素敵なワンピースまで着せて──
その全ては最初から、私を坊っちゃまへの最高級の据え膳に仕立て上げるため、ってわけで。
あんの、タヌキ……!!!!
どうぞお熱いひとときを〜♪と歌うように冷やかしてくる性悪爺の声を背後に。
私は内心ありったけ毒づきながらも、半ば引きずられるようにして、広間を後にさせられたのだった。
