まぁ、それが罷り通るなら、霞には他の女の子で発散してもらえるし、京や遥風に与えるダメージもマシになる……のか?
いや、そんなことは絶対ないな。あの人たちが『形式的だから』で納得する未来なんて見えない。
そんな私の反応を黙って眺めていた総一郎さんは、まだ弱いと感じたのか、さらにもう一撃。
「では、九条家の全武力をもって千歳様とそのご血縁をお守りすることといたしましょう」
……おっ、と。
なかなか強い条件に、私はちょっと息を止めた。
もしそうなってくれたら、ずっと気がかりだった琴乃の問題も解決する。
それに、ここで翠雲会を味方につけておけば、今後榛名優羽の組織に対抗するにおいてめちゃくちゃ有利になるはずだ。
そして、この勝負所を見逃すわけもなく、総一郎さんはここぞとばかりに最後の一撃を叩き込む。
「そして必要とあらば、この翠雲会、榛名優羽の春霖会に代わりエマの後ろ盾となりましょうぞ」
「っ……」
思わず息を呑む。
ビンゴ、とでも言わんばかりに静かに目を細める総一郎さんに、私は内心ちょっと顔をしかめた。
……狸ジジイ、という言葉がこれほど似合う人もいないな。
きっとこの人は、最初っから私が翠雲会に求めることをなんとなく掴んでいて──
そのうえで、ただでは利用させまいと、こうしてわざわざ自ら盤面に乗り込んできたんだろう。
ギブアンドテイク。
大人の世界では当然のルールだ。
何一つ失わずに欲しいものを手に入れるなんて、そんな甘い話が通用するわけない。
大切なのは、損得を鑑みて最適な判断をすることだ。冷静に考えなくちゃ。
