さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



榛名優羽から逃れられれば、裏社会のドロドロからも解放されると思ってたのに……

これじゃ、逃れるどころかさらにどっぷり浸かることになっちゃうじゃん。


それに、京との『誰とも付き合わないで』って約束もある。許嫁は『付き合う』わけではないけど、だったらセーフ♪なわけがない。

付き合うすっ飛ばして結婚なんて、普通に一発アウトに決まってる。

しかもよりによって相手が犬猿の仲の九条霞なんだから、もう最悪だ。


それに、極道の妻なんて、絶対面倒ごとに巻き込まれる予感しかしない……しかも、夫婦関係になったら当然夫婦の義務的なことも付いてくるだろうし。


あれを毎晩相手にするとか、ぜっっったい死ぬ……!!


もういいや、断ろう。デメリットが多すぎる。


そう思って顔を上げた瞬間──

それを遮るように、総一郎さんが口を開いた。


「千歳様が九条に入ってくださるのであれば、私の全権をもって、千歳様のご要望をなんでも叶えて差し上げましょう」


一瞬、固まる。


……ここでそれを持ち出してくるのは、さすがにズルいんじゃないだろうか。

私が興味を引かれたのを見透かしたのか、総一郎さんはさらに条件を重ねてくる。


「許嫁、といっても形式的なもの。一人、九条の跡継ぎを残すことさえお約束いただければ、それ以外でどの殿方と関係を持たれようと構いません」

「……は?」

「拘束力は無い、ということでございます。霞様にも千歳様にも恋愛の自由は保証すると、この爺がお約束いたします」


……オープンマリッジってこと?