いや、もはやそう呼んでいいのかも分からない。
だって、周囲のお手伝いさんの彼に対するへりくだり方がすごいし、何より──当たり前のように和室の上座に腰を下ろしている以上、絶対に何か名のある役職の強者に違いない。
凛と張り詰めた静かな空気に少し気圧されそうになる私に、執事さんは朗らかな微笑を浮かべて座布団を勧めてくる。
「ご警戒には及びません、どうぞお座りくださいませ。今度こそ、ちゃんと美味しいお菓子とお茶をお出しできると張り切っておりましたのですよ」
茶目っ気たっぷりにウインクを飛ばされる。なんとかして彼の意図を汲もうとするけれど、驚くほどに隙がない。
「……失礼します」
結局観念して、私は促されるまま座布団の上に腰を下ろした。
待機していたお手伝いさんが、目の前に黄金色の玉露と季節の練り切りをセッティングしてくれる。
せっかくなので一口だけ口をつけるけれど、こんな状況では味を楽しむどころではない。
私はすぐに茶器を置くと、世間話もすっ飛ばしてすぐに本題に切り込ませてもらう。
