さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「千歳お嬢様、先ほどのお召し物とウィッグはこちらに。乾燥まで滞りなく済んでおります」

「あの、わざわざお嬢様って呼ばなくて大丈夫ですよ……?」

「千歳お嬢様、お支度が整いました。お茶のご用意ができておりますので、どうぞこちらへ」

「……」


ガン無視のお手伝いさん。

そんなこんなで身なりの支度が終わり、私は制服とウィッグの入った紙袋を片手に、屋敷の広間へと通されることとなった。


まったく、私の周りの大人ってどうしてこうも強引な人が多いんだろう……。


内心文句を垂れながらも足を踏み入れた、その先には。

どうやら、すでに先客が待っていたようで──


「……おやおや、まぁまぁ」


その正体を捉えた瞬間、私は思わず顔を引き攣らせた。


「女性のお姿となると、また随分と印象が変わられますね。実に目麗しい」


──執事、さん。