さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜


その後。

九条家の高級車に乗せられ、私が連れていかれたのは──案の定、豪華絢爛な霞の家。


そのまま寮に帰してもらえるかも、なんて一ミリでも期待したのがバカだったな……。


これから一体何が始まるんだろう。

尋問?それとも拷問?

どちらにせよ、私の人生が終了したのは確定だ。


もうハニートラップも王手をかけられるところだったのに、こんな土壇場でしくじるなんて……。


壮絶なシチュエーションを覚悟し、鬱々とした気持ちで敷居を跨いだ私だったけれど。


連れていかれたのは拷問器具が揃った地下室ではなく──

高級温泉旅館ですか?ってくらいに磨き上げられた立派な浴場だった。


……えぇ?


大いに戸惑う私だったけれど、驚きはそれだけでは終わらない。


「どうぞこちらへ、千歳お嬢様」

「はい?」


四方八方を『女性の』お手伝いさんに囲まれ、『お嬢様』呼ばわりされる始末。


……ナゼ、当然のように男装が筒抜け状態なんですか?


急展開に追いつけずにいる間に、じわじわと包囲網を狭められて。

気づけば、成す術もなく身繕いタイムに移行されることとなっていた。