さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜


「かっわい……」

「は?」


……なに言ってんの、このひと。

こんな瀕死状態で、まだそんなこと考えてんの……?!


無言で、咎めるようにギュッと固く結ぶと、霞はぴくりと身体をこわばらせた。


「……じゃ、救急車呼びますからね」


なんとか処置を終え、私は額に張り付いた髪を無造作にかき上げると。

そのまま、ポケットからスマホを取り出そうとしたのだけど──


ぐいっ。


それを阻止するように、腕を引かれて。


そのまま体勢を崩した私は──

ぽすっ、と霞の胸に綺麗に収まった。


……え?


一瞬なにが起きたのか分からず、硬直する私。

濡れた制服越しに激しい鼓動が伝わってきてようやく、抱きしめられたのだ、と理解した。


「は、ちょっと……!」


慌てて身を引こうとするのに、びくともしない霞。

瀕死状態のくせに、なんでこんな力強いの……!!


戸惑っている間にも、霞は私の首筋に唇を寄せて──

ちゅ、と熱い唇を押し当ててくる。


「っ……?!」


ちょ、待って……?!


慌てて身体を逃がそうとしても、許されなくて。

それを咎めるみたいに、舌で首筋を舐められて、ビクッと肩が跳ねた。


あつい感触。

金属のピアスだけが、氷みたいに冷たい。