さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「……っ!!」


言葉を失った。

……抵抗できないように、脚から狙われたんだ。


踊らなきゃいけない人間相手に、こんな傷……致命的すぎる……!!


血は今もまだじわじわと滲み出していて、雨水に混じって地面を赤く染めていた。

このままじゃヤバい……早く止血しなきゃ。


そう思った私は、慌てて自分の制服のネクタイをしゅるりと解いた。


「……おい」

「動かないでください」


声が上擦る。

手が、震える。

傘なんてとっくに手から離れて、路地の端に転がっていて。

冷たい雨が髪を濡らして、制服を肌に張り付かせてくるけど、構わず私は彼の脚にネクタイを巻きつけた。


なるべく傷を刺激しないように、血が広がらないように──

足首の後ろ側、鋭く避けた傷口を、ギュッと圧迫。


「っ、く……」


痛みに顔を歪める霞。一瞬怯みそうになったけれど、手加減しちゃダメだ。

さらに、ギューッとキツく締め直す。そのまま震える指先でなんとか結び目を作ろうと奮闘していた──

そのとき。


不意に、私の髪に彼の手が触れた。

優しく、愛おしむように頭を撫でられ、動きが止まる。

な、何……?