さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「……ありがとう。これから何かあったら、ちゃんと伝えるから」


できるだけ柔らかく微笑むと、雪斗はまだ若干不安そうにしつつ、小さく頷いた。


……心配、だよね。


壊れちゃったひとは、本人だけじゃなくて、周りを巻き込んで傷を残す。

遥風が栄輔にしたように、お母さんが私にしたように、双子の父親が家族にしたように。


そういう負の連鎖は、たぶんこれからもずっと続いていくんだろう。

完全に断ち切ることも、きっとできない。


……けど。

だからって、見ないふりをしていていいのかな。


目の前で、こんなにもたくさんの大切な人たちが傷ついてるのに──

私、何もしないで自分が逃げることだけ考えてていいんだろうか。



……でも、かといって私に何ができるんだって話だし……



あぁ、もう。

分かんないなぁ……。



思わず零れた小さなため息は、校舎を叩く雨音の中に紛れて、そのまま消えていった。