さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



その間も、遠慮がちに私の背をさすってくれる雪斗。

責任を感じているみたいで、ずっと申し訳なさそうな表情をしている。


よっぽど私が動揺しているように見えたんだろう。

心配かけちゃってばっかりで申し訳ないな……。


「……悪い、変な話して」

「いや……大丈夫。こっちがごめんね」


慌てて笑顔を作ってそう返す。

けれど、やっぱりどこかぎこちなかったのか、雪斗は納得できないみたいに眉根を寄せていた。


数秒間、沈黙。

雨が校舎を叩く音だけが、鮮明に響く。


「……なぁ」


口を開いたのは、雪斗だった。

少し言いにくそうにしながら、けれど真っ直ぐ視線を合わせて。


「千歳が俺らのこと、あんまり巻き込みたくなさそうなのは分かるけどさ……

限界になる前に、絶対言えよ」


はっきりと、そんなふうに言ってきた。


「このままだと、お前ホントに潰れそうで怖い」


その声に、言いようのない切実さが滲んでいるような気がして、胸がキュッと痛くなる。


彼本人が抱え込みがちだから、っていうのもあるんだろうけど。

──抱え込んで、抱え込んで、結局誰にも頼れずに倒れてしまった母親を見てきたからこそ、ここまで私のことを気にかけてくれるんだろうな。


内心では感謝よりも申し訳なさが勝っているけれど、今はきっとごめんねよりもありがとうだ。