……それでいうと、私のお母さんも。
今だから思うけど、あの人だってちゃんと被害者だったんじゃないのかな。
静琉にお母さんと黒羽仙李との馴れ初め話を聞いたときから、ずっと考えてきた。
なんでお母さんはそんなことになっちゃったんだろう。
どうして、そこまでして私っていう最高傑作を生み出すことに固執してたんだろう、って。
それで、最近ちょっと思い出したんだ。お母さんがよく言っていた言葉。
『私の人生は、18歳で怪我をしたあの瞬間に終わったの。
それからの私は、生きていたんじゃない。ただ、もう一度人生を始めるための準備をしていただけ。
私の人生は、千歳が18歳でデビューした瞬間にようやくもう一度動き出すんだから』
あの人にとっては、女優としてのキャリアも、私を芸能界に送り出すための布石で。
私のデビューに、自分の『終わった』人生の全てを賭けていたみたいだった。
それほどまでに、アイドルという職業に囚われていたお母さん。
エマプロに来るまでは、それをただ狂気だと思ってたけど……
今ではそんな一言で片付けるのは、少し違う気がしてしまう。
お母さんもおかしかったけど、それ以上に──
若い頃の母親に『アイドル』という役割を押し付け、逃げ場を無くしておいて。
怪我をした瞬間、使い物にならないと言わんばかりにあっさり背を向けた周りの方が、よほど変なんじゃないだろうか。
