「上手くいくわけない。証拠だって薄いし、情状酌量の余地だって多分ある。仕留めきれずに逆恨みされてボコられたらどーすんだ」
雪斗の正論に、陽斗の顔からスッと笑みが消える。
……おっと、やばいのでは?
表情を引き攣らせ焦る私をよそに、二人の会話はますますヒートアップし始めた。
「じゃあ何、泣き寝入りしろって?母さんが踏み躙られたままで?」
「母さんは俺ら二人に、何も背負わないでって言ってただろ」
「ちょ、落ち着いて……」
「復讐しなかったら僕は一生罪悪感を背負い続けるけど?」
「父さんを裁いても母さんは帰ってこねぇだろうが!」
「ねえ、ちょっと」
「何?!うるさいな、千歳はどう思うの?!」
「はっ?」
必死に二人の間に入ろうとしていたら、急に矛先を向けられた。
ど、どう思うって……
私、二人に意見できるほど兎内家の家庭事情についてよく知らないんだけど。
お父さんがどの程度ヤバい人だったのか、お母さんが二人に一体何を伝えたのかとか、そこらへんがはっきりしないと何も言えない。
救いを求めるように雪斗に視線をやると、彼はどうすべきか少し逡巡していたようだったけれど。
やがて、観念したように小さく息を吐き、ざっくりとわけを説明し始めてくれた。
