さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



それを破ったのは──

雪斗ではなく、反対側に座った兄の方だった。


「そりゃね」


スマホから視線を上げることなく、さらりと頷く陽斗。


「今後ファイナル一緒に戦うのに、俺らだけ蚊帳の外は普通に失礼じゃない?」


そのストレートな言葉に、ごもっともです……と平謝りしたくなる。

ほんとだよね、ここまで色々迷惑をかけさせておいて、変にはぐらかすのも普通に失礼だよね。

雪斗は?と視線をやると、「話せる範囲でいいけど……」と遠慮がちに頷いてきた。


……分かった。長くなるかもしれないけど、ちゃんと話そう。


これまで、私がどんな理由でオーディションに参加して、どうして周囲に冷たい態度を取り続けてきたのか。

榛名優羽、式町睦、そして巫静琉三人の関係と、その大人たちの思惑がどう絡み合って、今のこの状況になっているのか。


そして──これから、私が晒されることになるかもしれない危険を含めて。

男装部分だけ伏せて、それでもできるだけ誤解のないように、しっかり伝えよう。


そう考えた私は、ひとつ息を吐くと。

静かに落ちる雨の音をBGMに、ぽつりぽつりとこれまでのことを話し始めたのだった。