さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



三次審査のときといい、雪斗が関わることになると必ず一緒に着いてくるあたり、やっぱ弟想いだよねこのひと。

普段からもっと仲良くしてあげればいいのに。


「悪い……行くって言って聞かなくて」


前にも聞いたような言葉で謝りながら、私の左隣にどさりと腰掛ける雪斗。

その疲れ果てた横顔だけで、今日一日の彼の心労を察してしまう。他人事じゃないなぁ……。


「……それより雪斗が大丈夫?今の京と霞と一日中同じ教室とか、だいぶ精神削られるでしょ」


思わずそう聞くと、雪斗はため息混じりにちょっと肩をすくめた。


「ああ……午後は霞が早退したから、まだ良かったけど」


初耳の情報に少し目を見開く。


早退……?珍しいな。京の藁人形でも刺しに行ってるんじゃないの?


そんなくだらない思考を巡らせる私の横で、雪斗はしばらく、言葉を探すように黙っていたけれど。

やがて、ふっと顔を上げ──私と視線を合わせた。