さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



……そう。

そもそも私がどうしてこんなところにいたのかというと、六限終わりの雪斗と話すために待っていたのだ。


朝イチでLINEが来たときは驚いたけど……

おそらく、彼なりに私のことを気にかけてくれたんだと思う。


噂によると、朝二年の教室で京と霞が大揉めしてたっていうし、多分それ関係の話だよね?

色々心配させてしまって申し訳ないな、と俯く私。

するとその頭上から、もうひとつ聞き慣れた声が降ってきた。


「まったく、雪くんったら心配性なんだから〜」


……え。


驚いて顔を上げると、その声の主は──

やはり、陽斗。


ヒョコッ、と雪斗の背後から顔を出した彼と視線が合って、私はちょっと目を見開いた。


あれ……なんで。

来るって言ってたっけ?


私の明らかな戸惑いを前に、陽斗は悪びれもせずさらりと肩をすくめる。


「ダメだった?雪くんのどしたん話聞こかを見物しにきたんだけど」

「人聞きの悪いこと言うな」

「雪くんの許可は取ったもん。千歳もいいよね?おやつあげるから許して」

「え」


むぐ、と無理やり口にグミを突っ込まれ、交渉成立とばかりに私の右隣に座ってくる陽斗。

押し売り交渉すぎる……。