さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



一ヶ月間一緒に過ごしてきたのだ。涙でぼやけた視界でも、見間違えるはずがない。

まるでそこだけ時が止まったみたいに硬直して、こちらを凝視してくる彼は──

間違いなく、九条霞本人。


さあっと血の気が引き、心臓がバクバクと早鐘を打ち始める。


な、こんなタイミングでこんなところに……偶然?

それとも、まさか──


「……あいつ見てる?」


キスの合間、至近距離で落ちる熱を含んだ囁き。

思わず、呼吸が止まった。


あ。

やっぱりこの人、最初から分かってて──


私が何も答えられずにいると、その反応で察したのか、彼はふっと軽く笑って。


「見せつけよっか」


次の瞬間、また、唇を奪われる。

わざと音を立てるみたいな、執拗なキス。


「ん……っ」


全身から力が抜けたところを突かれて、そのままフローリングの上に押し倒される。