さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「それでね、この場合はここになるんだけど……」

「うん」

「……」

「……」


……さっきからこの人、私の顔しか見てないんだよなぁ……


ローテーブルに頬杖をついて、じーっと私の横顔を凝視してくる京。

勉強会開始から約一時間、無視して教え続けてたけれど、そろそろ流石に看過できなくなってきた。


人が真面目に教えてやってるのに、まったく……


このまま視線で穴を開けられる前に、なんとか言ってやらないと。

そう思った私は、ぱっと顔を上げた。


「ねぇ、ちゃんと集中──」


瞬間。


──ちゅ。


唇に、柔らかい感触が落ちた。



…………

…………は??



何が起こったのか分からず、硬直する。

数秒後遅れて思考が追いついて──


キスされたのだ、とようやく理解した。


「は、なんでっ……」

「あは、ごめん。俺のために一生懸命教えてくれてんの可愛くて、つい」


つい、じゃない!!!!

悪びれる様子もなく、甘く目を細めて首を傾げてくる京。


本当に意味が分からない、いつ人が通りがかるかも分からないのに!!

と、羞恥心のままに絶叫したいのはやまやまだったけれど。


ここで私が取り乱したら、きっと京は調子に乗ってくる。

そう思った私は、色々言いたいことをグッと飲み込んで、視線を手元に戻した。