翌日。
『作戦』という免罪符を得てからの峰間京の猛攻は、案の定凄まじかった。
例えば、朝の廊下。
「おい、千歳──」
「千歳!一人で行かないでよ」
霞の面前、遠慮無しの肩抱き。
例えば、10分休みの教室。
「おい、ちと──」
「千歳、その課題いつ終わんのー?」
霞の呼出を阻止する、ダル絡みバックハグ。
例えば、昼休みのラウンジ。
「京、これはさすがにっ……」
「えー?昨日千歳が寝かせてくんなかったのが悪いんじゃん」
極めつけの、ソファでの膝枕。
一見、いつかの茉白ちゃんに対する私みたいな立ち回りだけど、このひとの場合はおそらく私欲全開だ。朝からずっと過剰接触。
昨日寝るのが遅くなったのも、二人でのショート動画撮影が長引いたからでしょ?
語弊がありすぎる言い方やめてよ……!!
そして案の定、向こう側のボックス席からいつメン組+双子があり得ないものを見るようにジッとこちらを覗き込んでくる。
「なんで京ちゃんあんな調子乗ってんの?」
「我らが千歳くんの太ももを占拠するなんて、人類史に残る大罪……!!」
「霞先輩がペットボトル粉砕しそう」
「ほっときな。絡まれるよ」
「胃薬……」
また、彼らだけではなく、何も知らない他の生徒からの好奇の視線も死ぬほど集まってくる。
……って、そりゃそうに決まってるよ。
それだけ仲の良い友達同士とはいえ、この距離感はさすがに異様だもん。
悪ノリって言葉じゃ誤魔化しきれないレベルの甘い空気で、しかも相手は校内でそこそこ有名人の峰間京だし……
絶対に今日からあちこちで変な噂が立つんだろうな。
こめかみが痛い……。
