さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



そう気づいた瞬間、さぁっと全身の血が落ちて、心臓がバクバクと嫌に加速し始める。

なんで、こんな真っ昼間に……この辺って治安悪かったっけ?


「コイツか」

「間違いない」


一方の男が私に近寄り、節くれ立った指で強引に私の顎を掴んだ。


「っ……!」


ねっとりとした視線が、頭からつま先までを舐め回す。

耐えきれず思わず視線を逸らすと、男はククッと楽しそうに喉奥で笑った。


「九条のガキが男色だって聞いた時は驚いたが──なるほど」

「通りで女どもの色仕掛けが一切効かねぇわけだ」


ゲラゲラと路地に響く、品のない笑い声。

それを遠くに聞きながら、私は一人愕然としていた。


この感じ、絶対──

翠雲会の、敵対勢力だよね?


ヤバい……情報が回るのが早すぎる。

霞が私に執心し始めたのは、つい最近のことなのに。

やっぱりそれほどに、霞周辺の動向は注目されているってことなのか。


心臓が痛いくらいに暴れ、呼吸が浅くなる。

どうにかして逃げようと思っても、羽交い締めにされた腕はびくともしない。

むしろ動いたのを咎めるように力が強くなって、私は痛みに顔を歪めた。


「っ……!」


その反応さえ、彼らにとっては娯楽らしく。

痛がる私を前に、ますます面白そうに目を細める男たち。