さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



正直、一人で抱え込むにはなかなかヘビーな状況で、私は一人重いため息を吐いた。


うーん……どうしよう、遥風に相談してみる?

彼なら、金曜にわけを話してあるから話が早いだろうし。


参考になるか否かはともかく、どうにかしてこの不安を誰かに共有したい。

彼も彼で色々忙しくはあるだろうけど、ちょっとくらいなら……。


そんなことを考えて、歩きながら遥風とのトークルームを開いた──

その時だった。


──グイッ!!


いきなり腕を強く引かれ、視界がぶれる。


「っ……?!」


何が起こったのか、理解する間もないまま。

次の瞬間、私は細い路地の奥に引きずり込まれていた。


背後から誰かに乱暴に羽交い締めにされ、手からスマホが滑り落ちる。


ハッとして顔を上げると、目の前に立っていたのは──


黒いスーツを身に纏った、いかつい体型の男二人。

背後にもう一人いるから、全部で三人だ。


ツン、と鼻をつく重苦しい香水。

煙草と脂、そして血の生臭さが混じったその匂いに、一瞬にして既視感を覚える。


京を探しに繁華街に行った時、捕まった人たちと似てる。

つまり。


──堅気じゃない。