さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



月曜日。

新入生期間最終週、つまり、私が学校にフルで通える『最後の一週間』が幕を開けた。


先週の金曜日、九条霞に恋愛感情を自覚させることにはなんとか成功したから──

ここからは、執着を依存に変える最重要フェーズ、『揺さぶり三段構え』の『引き』フェーズの開幕だ。


接触を完全に断ち、霞の心をストレスで揺さぶって、なんでも言うことを聞く駒に仕立て上げる。

そんな算段で、私は今日から徹底的に霞を避け始めた。


授業の間の休み時間は教室から逃げ、昼休みさえ合流せずに人気のない場所でぼっち飯。

常時神経を張り巡らせて逃走したおかげで、今日一日なんとか霞と顔を合わせず乗り切ることに成功し、今こうして無事帰り道を歩いている。


任務を遂行できたことは、まず良かった。

良かった、んだけど。

この方針を続けるとなると、同時に浮かび上がってくる懸念事項がひとつ。


霞を避けるということはすなわち──

昼休みから登校してくる茉白ちゃんたちとも話す機会を失う、ってことで。

このままだと、あのキスが有耶無耶になったまま、どんどん気まずくなってしまう可能性がある。


あちらから返事を急かしてくることもないから、そのままにしてしまっていたけど──

やっぱり、茉白ちゃんは不安だよね。

今日も授業中に何回か目合ったし、こっちのことを気にかけてくれているのは確実だ。


何か話しかけた方がいいのかな?

とはいえ、『何か』って何……?


告白の返事そっちのけで普段通り接するのも、それはそれで失礼だしなぁ。